ヴィンテージティファニーとアンティーク時計との共通点 | Wedge12月号 Value Maker 「壊れても修理して使う」アンティーク時計の価値 のコラムを読んで

久しぶりの更新ですね

久しぶりの更新となりました。
インスタは、ボチボチとコーディネート例をアップしていっていますが、
こちらの方は全然更新していませんでしたね。
今年は、世界各国がコロナに翻弄され、色々な「コト」が加速度的に進む前哨戦のような年になりました。
私も、感染には気をつけていますが、感染経緯が空気の場合、避けようがないため、もしかしたら無症状で感染しているかも?と思ってしまう日もあります。
気をつけても気をつけようがないのが現実ですが、くれぐれも皆様健康にお気をつけてお過ごしください。

Wedge 12月号を読んで

先日、こちらの雑誌を読んでいると、私がヴィンテージティファニーに対して考えていることと同じ考えを持つ先人がアンティーク時計の業界で活躍されていたのでご紹介させていただこうと思います。

89年に設立されたアンティークウォッチ専門店「ケアーズ」代表・川瀬友和氏です。

Wedge12月号のP.96~98にコラムが載っています。
その中で、特に共感した部分(ヴィンテージティファニーにも言えること)を3箇所引用させていただきます。

引用その1~もう誕生しない品々~

「70年代の手巻きで少し小さめのサイズのモデルはすごく格好いいが、コストがかかりすぎてもう作れるメーカーはなかなかいないのではないか。」

Wedge 12月号 98ページ

ヴィンテージティファニーの場合も同じく、1980年までの商品に関しては良いものが多く、それら今では採算が取れず開発ができない物が数多くあります。

例えば、私がインスタグラムの投稿したパフュームボトルは良い例です。私自身も彫金技術は一通り学んだので、製作者の観点からお話するとパフュームボトルは割に合わないです。まして、これを大量生産すると思うと、ゾッとします。Blackintonのマネークリップも、しかり。ここまで地金を使った作りにするなら前金制でないと嫌です。Schlumbergerのシグネットリングの18Kなんて、地金の量20g近くあります。これを仮に大量生産したら、貸借対照表の在庫部分がどれだけ圧迫するか。

そのため、製作者に加えて経営者の観点からお話すると、どれも全部廃盤にして商売として美味しい「オープンハート」や「エンゲージリング・マリッジリング」に注力したいわけです。オープンハートは、最大級に作るのが楽。エンゲージリング・マリッジリングは、ダイヤさえ良いものを確保すれば、作り自体は難しくないので比較的制作の壁が低いです。しかもダイヤ使えるので値段の上積みが簡単です。

エルサ・ペレッティ氏のすごいところは、デザインもさることながら、ビジネスの観点からめちゃくちゃ美味しい商品を開発したことだと個人的には思っています。

そして、1980年以降、個人的には日本への進出が本格的になった90年前後に、それら割りに合わない物がドカッと消えて、ビジネスライクな物ばかりになりました。

多くの人が勘違い、もしくはまだ気づいていないのかもしれませんが、日本で展開されたティファニー製品で「ヴィンテージ」、ようは30年後、100年後に高い価値があるものは販売されていないです。オープンハートが廃盤になるということはこの先も無いと思いますし、いかんせんそれらの品々は生産数が多すぎて、いくら古くてもヴィンテージと言うにも無理があります。大事なのは、「希少性」。極稀に限定品などで良いものがありますが、1SKUあたりの生産数が多いので価値をつけるのは非常に難しいです。

引用その2~時間が経つだけでは価値が生まれない~

そんなケアーズでは、70年代半ば以降の時計はほとんど扱わない〜
〜「この時代の時計はおそらく100年たってもアンティークとしての価値は生まれない。」。

Wedge 12月号 98ページ

私の場合は、1980’sまでの物が多く、その中から色々な年度の物を組み合わせて着用することを推奨しています。極稀に、オーダーメイドのもので80’s以降のものでも価値のある作りのものはあります。

しかし、私が「オールド」と言っているもの。大多数の店舗では「ヴィンテージティファニー」と称して、#ヴィンテージティファニーと検索したら湧き出てくる同じデザインの大量生産物に価値が生まれるとは到底思えず、1)の続きにはなりますが、私の方でもよほどのリクエストが無い限りは取り扱わないものです。

ちなみに、都内の某セレクトショップ2店舗のバイヤーは、この私が取り扱わないもの方が欲しいとリクエストされてきた過去があります。

引用その3~国内のアンティーク / ヴィンテージにおける懸念点~

川瀬さんが懸念しているのが〜、古いモノに価値を見出す「文化」が若い人たちに受け継がれるかどうか。

Wedge 12月号 98ページ

この懸念点は、時計以外の全てにおいて言えることですね。現在は、アジア諸国の中では日本人が一番「良い物」(=価値がある物)かどうか価値判断ができなくなってきているのでは無いでしょうか。「断捨離」、「ミニマルライフ」といった言葉、私も好きですが、この言葉を使って家のものを一方的に捨てていき、自分たちの「子」に継がせないのはどうなのかなと思います。どんなに良いものでも知らなかったら価値があるか分かりません。

しかし現代では、物を捨てる、手放す事に美徳を感じているのが今の若者の親世代なのかなと思っています。

というか、ぶっちゃけ整理整頓が出来ないから、物を捨てるというケースが多いと思います。
(東京とかの場合、家が狭いので、分からなくもないのですがね・・・。)

そして、気づいたときには身の回りには「ニトリ」、「無印」、「ユニクロ」などの物しか無い。
そしたら、バスマットにアスベストが含まれて年末に、「密」の返品カウンターに返品しに行き、アルバイトの女の子に「肺がんになったら賠償どうしてくれるんだ。」と文句を言う家庭が今年は多かったんじゃないでしょうか。

結局戻ってくるのは、2,000円にも満たない。

下手にケチると、後々後悔するので、個人的には良いものを長く使えば良いですし、それらのブランドも良いものは良いので、生活の中にうまいこと取り入れたら良いのですがね。

そのため、小さい頃からそれらの物しか見てこなかった場合、大人になっていきなり「良いもの」かどうか価値判断できかと言われたら、それは極めて難しい話です。

なので、そういった方々に、ヴィンテージティファニーを紹介しても、まず値段で驚かれて、それで一から説明しないといけません。これが、アジア諸国の方々だったら、各自が価値判断できるのでトントン拍子で話が進みます。

それもあって、上述したように昨年度バイヤー二人からオールドのリクエストを受けたのだと思いますが、前提として私はヴィンテージのコレクターで、希望があれば相互で納得したところで手放すというスタンスなので、そういう単純仕入れ作業みたいなことはしていません。

そうなると日本のマーケットには、サプライヤーから良いものが供給されなくなってきてしまいます。これを商いとしてご飯を食べている人からすれば、いつまでも店で眺め、聞くだけ聞いて買わない消費者なんて消費者でもなければ客でもなく、ただ時間を奪うだけでしかない存在です。サプライヤーも、それでご飯を食べているわけですからね。

なので、現状、アンティーク時計、家具、ヴィンテージの洋服、どんどん良いもんがお隣の大陸に流れていっています。

あちらの方が、決断スピードも早く、会話をしていても博識で楽しいと聞きます。

もちろん金払いも良いからです。

これから、さらにこの流れが進んでいき、日本にある良いものが無くなってスカスカの国になってしまい、そして、日本人のほとんどが、お隣の大陸の人々に嫉妬してケチをつけるだけの存在にならないかのを懸念してしまいますね。

なので、今、まだ価値判断が出きないという人たちには積極的に現状の既製品に満足することなど無く、昔のものなどにも視野を広げていっていただければと思います。

余談ですが、先日、知人が間違って人間国宝が作った木の臼を捨てて大騒動になったと聞いた時は開いた口が塞がらなかったです。しかし、臼だったら私も判断できなかったかもしれません。

これからのヴィンテージ、ちょっと脱線

これから、「ヴィンテージ」に該当する物は、どんどん値段が上がっていきます。正直、今が最後の買い時と思っています。

少し、お話が変わりますがROLEXはヴィンテージも現行もすごい勢いですね。

買取業者は、「異常の高さ」、「今は中古市場では買い時じゃない。」などと言っていますが、それはROLEXのお家事情を理解していないから2011年の相場と比較して語っているだけです。
(このお家事情は、かなり秘密なのでここではスルー。)

個人的には「異常」ではないと思います。もちろん下がるときもありますが、「異常」ではなく、今のデイトナとかの値段は、これからのスタンダードになると思います。おそらく、定価が今のプレミアムの値段に追いついてきて、従来の一般消費者がフィールドから除外される気がします。
(定価が上がって参入障壁が上がるため。)

あくまでも、私の見解ですが、業者が高い云々言う理由は、仕入れる時のキャッシュの圧迫が年々高くなってきているからです。BSのサイズは変わらないけど、仕入れ単価が増えてきているので、高単価の商品なのに薄利多売の回転率重視で動いていかないと生きていけないので、何とか仕入れ値を下げて相場も下げたいんじゃないでしょうか。しかし、今では個人対個人の販売が一般化されてきているので、買い叩くこともできない。中々、先が怪しい業界です。本来は質屋なのに、それが多店舗展開で肥大化していっているので、昭和の時代のスタイルにでも戻ったほうが良いのでしょうね。

まとめ

今回、まさかWedgeに、こういった記事が書いてあると思ってもいなかったので、見解も含めて記載させていただきました。

色々と考え方は人それぞれではありますが、個人的には「良いものを長く使う。」という考えは日本人本来の生き方にマッチすると思うので、「ヴィンテージ品」を購入するということは良いことだと思います。

良いものがあると、芸術的観点からも楽しめ不思議と毎日の日常も少し変わります。全部が全部ヴィンテージだとお金がかかるので、毎年集めていくなど徐々に徐々に買い足していけば良いと思います。

また、本物のヴィンテージの場合、自分たちの次の代にも引き継げます。

かといって、現行のティファニーが悪いかと言ったら、そうではありません。やはり新品には新品の良さというものがあります。

なので、色々と視野を広げて各自で判断にいただければと思います。

書き始めたら3〜4時間ぐらい経ってしまいました。
年内は、これが最後かな。

皆様、本年もありがとうございました。
コロナで、中々お会いする機会も作れなかったですが、来年はオンラインで何かできればと思っております。
良いお年をお過ごしくださいませ。

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