トルーマン・カポーティ著 ・小説「ティファニーで朝食を」に出てくる聖クリストファーのメダル

はじめに

以前から聖クリストファーのメダルが小説に出てくることは、過去のこちらの記事にも記載したとおり知っていたのですが、実は小説は読んでいませんでした。
というのも、一度映画を観ることを試みたのですが、開始10分で飽きてしまったからです。
そのため、小説も同じ内容なのかなと思ったら、つい他の小説を読み進めてしまいました。
しかし、流石にヴィンテージティファニーのコレクターとして小説を読んでいないのはマズいなと思い、とうとう本書を購入したのですが、これまた私と相性の悪いことに訳者が村上春樹氏。

これは、私の個人的な意見ではありますが、村上春樹氏の書く文章というのは、どうにも苦手です。何ていうんでしょう、京都のすき焼きは好きなのですが、東京のすき焼きは苦手というのが分かりやすい例かもしれません。

そんな事も重なり、買って1週間が経ち、それでも読み進まない。
しかし、不幸中の幸いと言いますか、昨日から大雨のため外に出ることも出来ず、また連日、仮想通貨の世界にのめり込んで疲れてしまい、もうこれは読むしか無い状況になったということで一晩で読んだのです。

結果としては、映画は開始10分で切り上げて良かったということです。
この点に関しては、本書の「訳者あとがき」で分かります。

作中に出てくる聖クリストファーのメダル

まず、結論だけ言うと、こちらが80-90%の確率で作中に出てくる聖クリストファーのメダルです。=当時販売されていたモデルの物。

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国内の中古市場では、ティファニーの聖クリストファーのメダルと言えば、シルバー素材に中心のデザイン部分にのみ18Kメッキがされているのが流通されていますが、それは比較的新しい部類のものです。
といっても、80年代以降の物なので希少性もあるのでヴィンテージに該当すると思っています。

さてここから、このメダルを掘り下げていきましょう。
作中では「聖クリストフォロス」と書かれていますが、「聖クリストファー」で良いです。

作中で聖クリストファーが出てくるシーン

本書では、大きく3回に分けて聖クリストファーのメダルが出てきます。
引用元 : 新潮文庫 「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ 著 / 村上春樹 訳

1. P.95

僕も彼女へのプレゼントを持参していた。小さなもので、それをポケットに入れていた。

「大したものじゃないんだ」、実際にそれは大したものではなかった。ただの聖クリストフォロスのメダルだ。でも少なくともそれはティファニーで買い求めたものなんだ。

2. P.160

「もうひとつお願い。私の部屋をひっかきまわして、あなたがくれた聖クリストフォロスのメダルを見つけておいて。旅行にはそれが必要だから」

3. P.162

「僕はホリーの逃走用荷物をまとめた。聖クリストフォロスのメダルまで見つけ出した。」

当時の価格帯と聖クリストファーの意味について

P.95で、主人公はホリーから350ドルの「四角い鳥かご」をプレゼントされ、金額に驚いていました。

当時(1943年=昭和18年)の350ドルを現代ドルに換算してみましょう。

約$5321.54です。

そりゃ高価ですね。
では、逆に聖クリストファーのメダルは幾らだったでしょうか。

これについては情報が非常に少ないのです。
戦中だったという時代背景からカタログを作っていなかったのかなとも考えてます。
そのため、この年代のカタログを手に入れることが難しく、その他の資料の用いての予測になります。

まず、メダルという物がティファニーで本当に売っていたのかという検証ですが、これは”Yes”。

例えば、このカタログは1913年のもの。

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ここに”Medal”と記載があります。
ちなみにこの時代は、ほぼオーダーメイドです。
といっても、クリストファーのデザインなど、宗教に属するデザインのものはオーダー内容も被ることが多かったのでメインデザインのところは量産です。

そして、価格について。
これは、70年代のカタログか1913年のもカタログの、どちらを参考にしようか迷ったのですが70年代のブルーブックにメダルが掲載されていません。
そのため、1913年のカタログを参考にしながら見ていきましょう。
恐らく、このScuplur Medalです。
Goldと書いてありますが、間をとって$3でみていきましょう。

1913年=$3
1943年の価値に換算すると=$5.24
2020年の価値に換算すると=$79.67

です。
主人公は、特別高給取りではなかったため、結構頑張ったほうなのかなと思います。

参考までに、1945年(昭和20年)の日本人の給与を調べてみました。

エリートの少尉:月給70円 = 現代 35,559円
叩き上げの軍曹 : 月給23円 = 現代 11,684円
女子動員学徒 : 月給30円 = 現代 15,239円
2等兵乙 : 月給6円 =現代 3,048円

また、1945年の$1=15円です。

ここで、いかにホリーが高価なものをプレゼントしたかということが分かりますね。

次に、このメダルの意味についてです。
ホリーは、「旅行にはそれが必要だから。」と言っています。

これは、聖クリストファーは、アメリカでは「旅のお守り」としての役割を持っているからです。
アメリカでは、車やバイクの鍵に付けたりしており、日本で言う「交通安全」のお守りと同等の扱いになっています。そのため、この製品は特別Tiffanyだけが販売していたものでは無いのが事実です。ググってみたら色々なメーカーから製造販売されており値段はピンきりです。
ちなみに安いものはデザインの顔の部分が潰れてたりで造形が悪いので推奨しません。

ヴィンテージティファニーの聖クリストファーのメダルが購入できるところ

「ティファニーで朝食を」の小説が好きな方でしたら、この小説を読んでみたら一度はこのメダルを買ってみたいと思ったことがあるかもしれません。

しかし、残念ながら国内で特別購入できるところというのは存在しません。
昨今、ヴィンテージエルメスのネタが切れて、ヴィンテージティファニーを取り扱う店舗が増えてきておりますが、皆、総じて知識不足のため、購入を推奨できる所がありません。

また、某フリマアプリは、売ってる本人達が偽物と気づいていないケースが多いですね。
全員総じてe-bayから仕入れて出品するという形をとっていますが、中には本物と偽物が混在しているケースもあり、市場としてはめちゃくちゃになっています。
1ヶ月ほど前に知人から商品画面が送られてきて買おうか迷っていると聞かれた時には、開いた口が塞がらないレベルの代物でした。

まぁその辺りは、仮想通貨と同じく買い手もDYOR (Do Your Own Research)です。

スマホが普及する以前は、個人間の売買はマニア同士が行っていたので、トラブルが少なかった印象ですが、スマホが普及してフリマアプリなどが出来上がったことによって「素人の買い手」と「素人に毛の生えた売り手」が大量に参入してきた結果、たちの悪い猿と猿がバナナを投げあう文化が形成されてしまい日本国内で良いものを売買するには実際に横で直接繋がっていない限りは不可になりました。

マニアックな物を知りもしないで買ってしまうのは非常にリスクが高いです。

個人的にフリマアプリでは「目利き」が出来ない限りはマニアックな物を購入することは推奨はしません。
またその「目利き」は相当なレベルだと思ったほうが良いです。

補足すると年々、全体的に全てのヴィンテージが枯渇しており、全ての相場が増加傾向にあることからヴィンテージティファニーも同様に物が枯渇してきており値段が高騰しています。

恐らく、ほとんどの方が「古着」と「ヴィンテージ」の区別がつかない方が多いと思って書くと、一般的に上記の写真を見て「¥XXXぐらいなのかな。」と思っている値段より遥かに乖離しているのが現状です。

例えば、一昔前にM-65のミリタリージャケットはフルセットでも16,000~23,000ぐらいでしたが、今では状態が良ければ100,000超えます。

そのため、「安く」買えると思っている方は、その考えを一度捨てたほうが良いかなと思います。
一般的に「安い」ものには、安い理由があります。

結果、マニアックなものを確実に購入したいのであればコロナが落ち着いた際に、お金をもってニューヨークに行き現地の信頼が出来るヴィンテージやアンティークジュエリーを取り扱っているお店を1件1件訪問し探すのがベストです。

もしくは信頼のできるコレクターからの購入です。ただし、後者の方は少々ハードルが高いです。まずコネクションを構築する必要がありますし、そういった方々は店員で無いので特に売る必要もないので一から懇切丁寧にコレクター側が教えるという必要もないです。

そのため、買い手側も事前に知識をinputしておく必要がありますし、「お手頃価格」なんて考えは通用しないです。

そんな事やってられないという方は、ヴィンテージのティファニーにこだわらないというのもありです。
そういうことなので、ぜひ組織体制の変わったティファニーには、こちらを復刻していただきたい。

参考LINK

  • http://tingin.jp/kyuyo_shi/gunjin-kyuyo.html
  • http://yasuma-guitar.com/ensouba.html
  • https://yaruzou.net/hprice/hprice-calc.html?amount=6&cy1=1945&cy2=2019

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