「ティファニー×NFT」が市場に与えた影響。販売から1ヶ月後の評価とは

はじめに

前回の記事から4ヶ月で、実際にNFTiffが発売されました。
Mint 価格は30ETH。
販売数量は250個です。
今回は、そのNFTiffについて振り返りも兼ねてツラツラと書いていきます。

NFTiffとは

NFTiffとは、Tiffany&Co.が2022年8月5日に発売したNFTです。
こちらのNFTは、Crypto PunksというNFTを保有している人のみが、そのNFTを購入する権利を獲得することが出来ました。

そして、そのNFTを保有することにより、自身が保有しているCrypto PunksのNFTをネックレスにすることが出来る特典機能を持っています。
1人最大で3個まで購入可能で、執筆時点でNFTiffのオーナーは世界で184名のみです。

数量250個と言うのはCrypto Punks発行数量に対して非常に少なく、個人的な体感としては「希少性」よりも会社側が「保守的」になった印象です。

そもそも、ホルダーがどこの国に住んでいるか、その国に届けられるのか? など顧客管理、その他運用面でやってみないと分からない部分が大きいため、まずは250人でやってみようという流れで、保守的にその決断に至ったのではないでしょうか。

製造自体もアメリカで一貫して行うのと、対応できる職人もそこまで多くないと思っています。

実際に商品化されるペンダントについて

  • サイズ - L30mm x W 20-30mm
  • 石 - ダイヤモンド、サファイア、アメジストなどを使用
  • 金属品位 - 18K イエローゴールド or ピンクゴールド
  • デリバリー - 2022年10月頃にレンダリング受け取り → 2023年初頭にデリバリー
  • 付属品 - チェーン、ギャランティ、

    *石の配置やゴールドの種類に関しては、ティファニー側に全てお任せになります。

    デザインに細かく口出し出来ないというのは、ある意味で今風かもしれません。一昔前のオーダーメイドといえば、消費者側の意向をしっかりと聞いた上で商品化するのが一般的でした。

    しかし、例えば昨今の古着ブームで売れている古着屋さんを見ていたら、消費者が細かく考えるのではなく、店や制作側がトータルでコーディネートしたものを、ユーザーはそのまま購入するという流れになっています。消費者が、考える事が出来なくなっているのか、それとも面倒になっているのかの二択ですが、前者のほうがウェイトとしては大きいです。それを察したからなのか、今回、Tiffany&Co.側では、あくまでもTiffanyが決める。そして返品交換も出来ないと公式サイトには明記していました。

    これが、本来のティファニー好き ( 顧客 )に対してどう捉えられるのかなという部分ですが、既存の顧客よりもニューリッチのほうがお金になるので、そこに対してはあまり気にしていないのではないでしょうか。

販売推移を見てみる

さて、ここでは8月5日から発売されたNFTiffの動向について見ていきましょう。

現在は、Floor Priceが59ETHです。

Openseaより

しかし、実際に取引履歴を見ているとMint割れしており、30ETHを切っています。

最初の14件以降は、30ETHを切ってます。
下記の画像は、Openseaでの売買実績です。

Openseaより

今の仮想通貨全体の相場を加味した場合、これが30ETHを超えることは余程のBig Newsが無い限り難しいと思います。また、ロイヤリティ収益が0%のため、特にティファニー側も二次市場で活発に取引されなくても良い部分もあり、Clone Xのように村上隆氏がレアリティの高いNFTを自分で買って市場に花を持たせる必要性は無いのではないかなと考えています。

この商品に物理的価値があるのか?

ここは、皆さんが気になる所です。

これは、メインとして使用されているダイヤモンドのカラット数次第です。
例えば、お隣の大陸では1.0ct以下のダイヤモンドの商品は購入しないというプライドがあります。
一方で日本だと、小ぶりで可愛いものが全体として好まれる傾向から、ctに対するこだわりは大陸よりも低いです。昨今のロレックスしかり、全体の相場を上げる要因の一つが大陸の人間たちです。
この人達が一気に欲しがると、必然的に価格は上がります。
そのため、その人達が購入しない商品とういうのは、その価格が対外的に見て横ばい。
あくまでも所有者の自己満足になります。

今回は、1ct以下のペンダントトップ。また同一モデルが作られないので、有名人などの真似を出来ない性質の商品です。そのため、大陸の人たちが一斉に買いに走るとは考えにくいです。

今回の商品は、あくまでもクリプトパンクスのホルダーのためのもの。
要は、ファッションにあまり縁がなかったオタクギークをLVMH帝国に引き入れるためのツールだと筆者は考えています。

そのため、Vuitton x Supremeのスケボーケースの様なプレミアが付くかといったら個人的にはNo。

それが既にNFTの価格にも反映されているのではないでしょうか。

国内アパレルメーカーもTiffany&Co.に続きNFT事業に参戦するべきか?

ここは、個人的には今の時点では9割のメーカーがやらない方が良いと思っています。

理由はシンプルに、そもそも「クリプト」や「NFT」が何なのか知っている社員が大半の会社内にいないからです。

特にありがちなのが、「社長や会長が突然ニュースや新聞でNFTという単語を聞き、世界を目指すと、やや何を言っているのか分からない目標を社員に伝える。しかしそれを実現するリソースなし。結局社員が振り回されて中途半端に終わる。」です。

同様のことがNFTでも発生するのではないかと予測しています。

アレクサンドル・アルノー氏は、クリプトやNFTに関してかなり深い知識を持っており、またそれらに対する情報収集元も確保している印象です。実際に前回の記事で書いたとおり、NFTも複数所有しており、しっかりと学んでいます。だからこそ新規事業立ち上げを行い、実際にNFTを販売しました。

ここに関しては、まず社内でチームを立ち上げ、実際にNFTの売買をさせたり、それに関する必要な知識を社員に身に着けさせる必要があります。

まだ行うにしても時期尚早なのではないでしょうか。

さいごに

最後までお読み頂き、ありがとうございます。
発売されてから約1ヶ月が過ぎた時点で、今回は記事を買いてみました。
クリプト自体が冬の時代に入っているので、このNFTでの売買益を期待することは難しいですが、新しいファッション産業においての既存の問題解決 (追跡機能をブロックチェーン技術で取り入れることによって、偽物流通を防止)につながる事例の一つとしてはとても良く、今後もティファニーの動きにはヴィンテージと同じく要注目です。

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