はじめに
連日、寒い日が続いていますが、皆様の体調はお変わりないでしょうか。
例年と異なり、コロナウイルス感染拡大が続いており、いつにもまして緊張感のある生活を強いられストレスが溜まっている方も多いかもしれません。
緊急事態宣言となった今、家で過ごす時間が増えてしまった方も多いのではないでしょうかん。
先日まで、年代別の刻印解説など、もしかしたら少々堅苦しい内容が続いていたと思う方もいらっしゃるかもしれません。流石に、講義をしているわけではありませんので、今日は少々目の保養になる物をご紹介しながら、ティファニーで活躍した「デザイナー別」シリーズとしてヴィンテージティファニーに関するお話を進めていこうと思います。
ティファニーで活躍したデザイナー
ティファニーといえば、「オープンハート」と思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。では、その「オープンハート」のデザイナーは誰でしょう。
正解は、エルサ・ペレッティです。
エルサ・ペレッティは、少しファッション通の方ならご存知かもしれません。
日本では、その他に、パロマ・ピカソ、そしてジャン・シュランバージェの二名が有名です。
ティファニーのデザイナー御三家といえば、こんな印象ではないでしょうか。
- エルサ・ペレッティ:オープンハートのデザイナー
- パロマ・ピカソ:パブロ・ピカソの末子
- ジャン・シュランバージェ:ティファニー製品の中でも、群を抜いて高い
他にも、特に70年代には多くのデザイナーが活躍しました。
特に面白いのが、かの有名なラルフ・ローレンも、ティファニーの製品をデザインしていた事があります。
なので、70年代のカタログには、掲載されています。
こんな感じに。知らなかった方も多いのではないでしょうか。
この話は、また後日。
今回は、その御三家の一人 ジャン・シュランバージェにフォーカスしていきます。
ジャン・シュランバージェについて
ジャン・シュランバージェ(Jean Michel Schlumberger) は1907年、後のフランスでもあるドイツ ミュルーズで生まれました。ジャン以外にも4人の兄弟(姉妹)がいて、彼は幼少期から絵を書くことに夢中でした。
1930年代に、Elsa Schiaparelliでボタン制作をすることからキャリアをスタートさせました。
*Elsa Schiaparelliは、かの有名なココ・シャネルのライバルです。
その後、ジュエリーデザインの才能を見抜き、コスチュームジュエリーのデザインを任せました。
第二次世界大戦中は、フランス軍として出兵。
戦後、ニューヨークに移住し、Chez Ninoにて洋服のデザインを開始。
1946年には、ビジネスパートナーのNicolas Bongardとジュエリー店を開業しました。
1956年から、当時代表を努めていたWalter Hoving氏にスカウトされ、ティファニー社でデザイナー職に努めはじめました。エルサ・ペレッティも当時、Walter Hoving氏にスカウトされティファニー社で働き始めました。
特に魚などの海の生物を始め、様々な動物からデザインのインスパイを受けたシュランバージェは、それを金やプラチナ、様々な宝石で表現しました。
1970年代後半にティファニーを退職。70歳後半まで働かれていたんですね。
そして、1987年8月29日、80歳の時にパリにて、その生涯を終えました。
ジャン・シュランバージェのジュエリーに魅了された人たち
ジャン・シュランバージェのジュエリーに魅了され人たちをご紹介します。
- ウィンザー公爵夫人(ウォリス・シンプソン):エドワード8世の妻
- エリザベス・テイラー:ハリウッド映画女優
- グレタ・ガルボ:ハリウッド映画女優
また、アメリカ元大統領ジョン・F・ケネディも奥様のジャクリーン・ケネディもジャン・シュランバージェのデザインしたジュエリーの熱狂的なファンで、特にエナメル加工のブレスレットの重ね付けはメディアからも注目され “Jackie Bracelets”と称されたほどです。
ジョン・F・ケネディ氏が、奥様のジャクリーン・ケネディ氏にプレゼントしたシュランバージェデザインのジュエリーは、現在”John F. Kennedy Presidential Libarary and Mesum”に展示されています。
その他、多数のNYで有名人がシュランバージェのデザインに魅力されました。
ジャン・シュランバージェの代表的な作品
そんな、ジャン・シュランバージェの代表作品はどんなのがあるのでしょうか。
見ていく前に、事前に知識を詰め込みましょう。
まず、金属素材です。
実は、ティファニーといえば「スターリングシルバー」ですが、ジャン・シュランバージェがデザインした物にシルバー製品はありません。
金属素材は、プラチナやイエローゴールドのみです。
次に、石。
これは、彼の天才的センスが発揮される所です。
とにかく、縛りが無く、ダイヤモンド、エメラルド、サファイア、ルビーと多種多様な石が使われています。
そして最後に、技法。
ジャン・シュランバージェの製品はリング一つにしても、非常に凝った作りです。
個人的に、エルサ・ペレッティとジャン・シュランバージェは対局の存在と思っています。
そのため、一つ一つの製品が非常に手間がかかり、現行品の指輪一つにしてもおおよそ100万からとなり、一見高い印象ですが、デザインと技術を考慮したら今の時代では相応の値段と思っております。
さて、そんな代表的な技法の一つに「エナメル加工」があります。
こちらです。
このエナメル加工を用いたブレスレットやリングが最高です。
特にヴィンテージが苦手な人は、現行品でも展開されていますよ。
500万ほどするのですが、このエナメル加工は、一見の価値ありです。
これら3点の要素が現行品にも集約されておりますが、ヴィンテージ品の場合は、現行品のデザインに加え、シュランバージェが得意とした動物類のデザインものが多数存在します。また、男性向けとして、数少ないシュランバージェデザインの「リング」や「カフス」もあります。
ジャン・シュランバージェのアメリカでの評価
日本では、エルサ・ペレッティの方に分がある印象ですが、アメリカではジャン・シュランバージェの方が根強い人気です。特に、70年代のヴィンテージ物に関しては、現行の物と変わらず3桁(100万円単位)での売買が活発にされています。また、ヴィンテージのシュランバージェ製品に関しては、ティファニーのニューヨーク本店でティファニーが買い取っているぐらいです。特に、本店の場合、当時使用されていた「石」にフォーカスしており、これが買取値を大きく左右します。確かに、今は、良い石が手に入りません。もし、70-80年代などにご家族の方がニューヨークに旅行されて、シュランバージェのジュエリーを買っていたら、それは絶対に残しておいたほうが良いです。
ジャン・シュランバージェ製品の刻印
さて、最後に刻印のお話です。
シュランバージェ氏の製品には、ヴィンテージティファニーでも珍しくデザイナーの「ネーム刻印」が打ち込まれます。
例えば、このリングの場合、「18KT TIFFANY」「SCHLUMBERGER」と打たれています。
上記が、一例です。全てが全て共通して上記のプレート刻印というわけではありません。年代によって異なります。
まとめ
今回は、デザイナー別にヴィンテージティファニーを知ってみるということで、第一発目としてジャン・シュランバージェ氏にフォーカスしましたが、いかがだったでしょうか。次回は、誰にしようか考えながら本日は、ここまでとさせていただきます。本日も最後までありがとうございます。感染拡大が続いておりますので、くれぐれもお気をつけてお過ごしください。
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